2015321日㈯株式会社名給(名古屋市熱田区)において、第10回日本臨床栄養師会研修会を開催しました。

今回は有限会社医療ソフト総合研究所 代表取締役社長 太田善文先生に「病院治療~在宅療養支援で必要なスキル」と題してご講義を頂きました。

太田先生

団塊の世代が75歳以上となる2025年少子高齢化がピークになる我が国では現在、制度ならびに報酬改定と地域医療計画が進められている。20154 月は介護報酬改定が行われ、2018年度には医療・介護同時改定が実施される。臨床栄養師も2025年問題に向け激変する制度などの改正の動向を理解しなければならない。少子高齢化が世界一のスピードの日本にとって、現状のままでは国の財政が行き詰るのは明らかである。そこで社会保障費の抑制のため、医療ビジョンの基となるのは地域包括ケアシステム構築である。これは、団塊の世代が75歳以上になる2025年を目途に重度な介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供されるシステムである。今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築は重要になっていく。更に終末期がん患者、精神科患者の在宅移行なども視野に入れている。病院と介護、双方の多職種間業務連携体制の構築が不可欠である。医療人としての臨床栄養師の役割(責務)は何か?責務をどのように果たすのか?目先の制度改正を憂うのではなく臨床栄養師として多職種連携が益々謳われる状況下、栄養ケアマネジメントを実践するスキルを習得し積極的に関わることが必須である。実践とは、手順に基づいて実行することである。制度改正の根本となっているのはPDCAサイクルである。PDCAサイクルとは、人を介して提供する「サービスの質を保証」をする仕組みだが、これは「栄養ケアマネジメント」と考え方は同じである。1人だけ秀でていても活動に限界があり広がらない。栄養士間で共通のツールとして活用するためには手順を整えること、それにより初めて、より多くの患者の低栄養状態の予防・改善・サービス向上に繋がる。最後に慢性心不全患者の地域連携、認知症のメカニズムとその対応、終末期がんの4ステージの理解、薬剤とその副作用、鎮静剤、向精神薬に共通する副作用は便秘であり「排便コントロール」のサポートは今後、地域に於いて臨床栄養師が担う重要な役割となる。がん患者と家族への配慮と対応は関係者が共有しなければならない「どれだけ生きたか」ではなく「どう生きたか」が重要である。とお話を頂きました。

総括で「大いなる和」を大切に(協和協調を大切に)、最後に「自分自身を褒められる人生」を目標とする(納得できる人生に向かって自分なりに努力していくこと。素直な生き方・仕事のやり方を貫くことで、納得できる自分の道が見えてくると信じて進むこと。)とまさしく先生のお人柄が滲み出ている温かいメッセージをいただきました。

3時間の講義があっという間に感じられた大変有意義な内容でした。